フローレンス法の有効性:イタリアの報告記事
フローレンス法はヨーロッパを中心に導入されている脊柱管狭窄症の治療法です。
その安全性や有効性は多くの論文で報告されています。
今回は、イタリアの医師が報告している論文を元に、フローレンス法(Lobster)の有効性に関して解説します。
イタリア医師の研究
2016年11月~2020年3月の間でLobsterスペーサーを埋入する施術を受けた255名の患者が研究に参加しました。患者の年齢は49歳~91歳(平均年齢71.2歳)でした。
この研究に参加した患者は、脊柱管狭窄症・椎間孔狭窄症に起因する間欠性跛行で悩んでおり、Lobsterを埋入する施術を受けるようになりました。
施術前と施術後は自覚症状が確認されました。

研究結果
255名のうち、1名は棘突起骨折が判明されて、スペーサー埋入不可になりましたが、それ以外の254名に対しては無事に施術が行われました。
28名は同施術で2個または3個のスペーサーが挿入されました。
治療後は合併症がありませんでした。
ほとんどの患者(99.6%)は治療後に症状が改善されました。
治療前後の自覚症状はVisual Analog Scale(VAS)とZurich Claudication Questionnaire(ZCQ)を用いて評価されました。
治療前のVASの平均数値が7.8で、治療6ヶ月後は2.9であり、約63%下がりました。治療前のZCQの平均数値が56.4でしたが、治療6ヶ月後には28.6となり、約49%下がってきました。


*Visual Analog Scale(VAS)とは、患者が感じる痛みの強さを指し示すスケールです。紙の上に10cmの線を引いて、左端に0(=全く痛みなし)、右端に100(=想像できる最大の痛み)と書いて、患者に、現在の痛みが0〜100の間のどのあたりになるのかを指し示してもらうことにより、痛みを評価します。
*Zurich Claudication Questionnaire(ZCQ)とは、腰部脊柱管狭窄症の重症度や身体機能、満足度などを総合的に評価する質問票です。
結論
この研究に参加した患者全員は外科的手術(椎弓切除術、椎間孔拡大術など)の提案もなされましたが、Lobsterスペーサー埋入を選びました。ほとんどの場合(99.6%)は症状の改善が見られました。フローレンス法(Lobster)は脊柱管狭窄症による間欠性跛行を改善するために有効な治療だと確認できています。
フローレンス法(Lobster)の主なメリットとしては、以下が挙げられています。
・局所麻酔+静脈麻酔下での施術
・日帰り可能な治療
参考論文
S.Marcia, et al. Feasibility, safety, and efficacy of a new percutaneous interspinous device: a retrospective multicenter study. Neuroradiology. Vol.66, 2024.